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6・23避難者訴訟第2陣(相双)、第3陣 弁論期日の報告


一、大いにバトルが闘われた弁論

2021年6月23日、避難者訴訟第3陣の裁判、第2陣相双チームの裁判、双方が行われました。第3陣が午後1時30分、第2陣が午後3時10分から開かれました。

 結論から言うと、久しぶりに「かんかんがくがくの、舌戦繰り広げられた法廷」でした。

4月に裁判長が交代して2度目の裁判ですが、今回焦点になったのは、ずばり「弁済の抗弁」という問題の取り扱いです。

二、東電の言い分

 東電は、今般、3通の準備書面を出してきて、賠償実務について意見陳述をしました。東電の言い分は、概ね次の通りです。

「どんぶり勘定で、住宅購入資金とか、地元に帰郷する際の交通費実費とか、就労不能損害とか、賠償を行ってきました。これらの支払いは、いま点検してみれば、この内容を支払う必要があるのかと疑問視するようなものもあります。そのくらい、賠償はたくさん払ってきていて、その実払い過ぎなくらいなんです。だから、これ以上お支払いするものなんて、ありません」。

 意見陳述では、みなさんも経験されたと思いますが、東電に直接賠償を求める際の、やれ帰郷費用だ、就労不能損害だ、医療費がかかった場合の費用だ、といったひとつひとつの項目について、それがどういう仕組みで賠償が行われていて、例えばこのような請求があった場合、これ本当に賠償に必要なの?と思えるものであっても、一律に迅速に支払うということで対応してきたからそこでそれを疑問視せず支払ってきましたよ、ということを陳述するものでした。

 実は、東電は、最近訴訟ではこの言い分を大展開してきています。賭けていると言ってもよいかもしれません。この言い分を何が何でも通して、私たちの請求を実現させないようにと必死の構えです。


三、私たちの対応

 もちろん、東電のこのような言い分は不当極まりません。

 今回は、三名の原告の方が参加し、一陣原告からも二名が参加してくれました。みなさん一様にお怒りでした。それはそうですよね。だって、賠償を東電に求めるとき、みんながどれほど苦労したことか。また、請求するにもなんのお金なのか、その賠償が真実必要なのか資料の添付提出を求められ、それらをとりまとめ整理するのにどれほど苦労したことか、ないときにどれほど困ったか。

 いわば、住宅確保損害などの賠償は、「済んだ話し」であって、いま訴訟で私たちが求めている「避難慰謝料」と「ふるさと喪失慰謝料」とは関係が無い。それを東電は無理矢理関連付けているのですから。

 

ということで弁護団としては、毅然と対応することにしていました。

 冒頭、裁判所に対し、東電のこの不当な主張と証拠の提出を認めないように申し入れ、この東電の対応にまともに対応するべきではないということを強く申し入れました。

 私たちの意見に東電が反論し、私たちが再反論し…、という口頭ベースのやりとりが何度か繰り返されました。


 裁判所は都合三回、「合議します」(つまり裁判官同士で相談する)といって、奥に引っ込み、最終的には、東電の主張を述べさせること、証拠の提出をさせることは認めましたが、私たち原告側が私たちの見解に基づき私たちの立証計画をまとめて提示すること、それによって東電が個別の賠償の合意を積み重ねているということであればそれはそれで話が済んでいるとして本件の立証の対象からは外れる(つまり裁判所として東電の主張を取り上げない)ということはあり得るということを示しました。


 今回は、この4月に赴任してきた裁判長が、本件の大問題についてきちんと問題意識を持ってもらうことを主な獲得目標としていましたので、そこは成功したと思います。

 そして、裁判所が東電の主張を一応陳述させるであろうということを見越して、当方も反論の準備書面を用意しておりましたので、その準備書面3通、それから陳述書の証拠提出を行いました。


四、次回

 次回は、9月1日13時30分開始です。第3陣が13時30分、第2陣(相双)が14時から、という配分です。

 次回は、三陣の裁判と二陣の形式的手続きを続けて行い、その後今回の東電の主張に対する私たちの反論の意見陳述を当弁護団が行います。


                                     以 上

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