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9・28避難者訴訟((1陣、上告審)の記者会見を行いました。



    避難者訴訟(いわき支部)上告審

「上告受理申立理由書に対する反論書」の提出にあたって

                           福島原発被害弁護団  

                           幹事長 米  倉    勉

1 東電の上告受理申立理由書

 ・7月27日提出

 ・千葉勝美弁護士(元最高裁判事)ほか3人の意見書を添付

2 理由書の概要

 ① はじめに

 ・指針等による既払い金額の強調(財産損害と慰謝料を合計し、世帯を合算して「軒並み1億円を超える」)

 ・「個別事情を考慮することなく」、「一律に」認容するのは不当だ。

 ・自主賠償基準の対象である166万人のうち、99%以上は訴訟による追加請求をしていない。避難区域の住民 14万9000人のうち、97%は訴訟を提起していない。

大多数の者が指針等の賠償水準を過少だとは考えていないことの証左だ。

 ・各地の裁判で区々の認容判決。「司法サービスのあり方」、「公平の観点」から、最高裁による判断の統一が望まれる。

 ・「一律の上乗せ」判決が確定すると、「訴訟の乱発」を招く。司法の停滞を避けるために、指針等を超える一律の追加賠償を認めるべきではない(破棄自判して棄却せよ)。

② 「社会通念に反する」損害認容

 ・指針等は法律上認められる損害を十二分に網羅しているのに、指針がによって評価し尽くせない」損害を認めるのは裁量を逸脱。

 ・指針等による支払いを「避難継続慰謝料」だけだとして、「余儀なく慰謝料」「故郷喪失慰謝料」を認めたのは、ダブルカウントの過剰な認定だ。

 ・「原告全員に生じていない損害」や、地域の状況を、原告の損害として評価するのは「つまみ食い」認定だ。

 ・従来の「平穏生活権」侵害の賠償額と比べて過大だ。

 ・財物が賠償されれば、精神的苦痛は慰藉される。本件では、経済的(財産的)損害が賠償されていることを考慮して、「慰謝料の補完的・調整的機能」を踏まえて金額を考えなければならない。

③ 弁済の抗弁 

 ・訴訟外の直接請求による支払いは全て、訴訟上の慰謝料請求に対する弁済として充当できる(原告は、全ての請求金額を立証せよ)。

 ・訴訟外の支払いには過払いがある(既払いを超える損害は存しない)。

 ・世帯代表への支払いは、同居の世帯構成員に対する弁済にもなる。

④「故郷」は、法的に保護されるべき利益にあたらない

 ・そもそも、「故郷」は、主体も客体も不明確で、法的に保護される独立した権利・利益に当たらない。

 ・「地域」は、開発や自然災害によって変容し、あるいは住民の流動やライフスタイルの変化によって変容する、「ノスタルジック」なもの。そのようなものは、「反射的利益」か「事実上の期待」、あるいは「一般的公益」でしかない。

 ・刑罰法規、行政法規違反がないから、侵害の事実が認められない。

⑤ 旧緊急時避難準備区域については損害がない

 ・避難指示が発せられていない。屋内退避を内容とする避難指示はH23年9月に解    

 除されており、帰還に支障はない

 ・単なる「不安」であり、受忍限度を超える損害がない。

 ・相当因果関係もない。

3 顕著な問題点

(1)被害者が奪われたものへの無理解

 ・権利侵害(被侵害利益の存在)すら否定

 ・「故郷の喪失」という被害の全体象を「包括的に把握・評価」することを拒み、「個別のバラバラな損害」に分解しようとする

(2)財産(住宅)を賠償すれば「故郷喪失」は解消するという誤った損害評価と理解

 ・既払いの財物賠償に加えて、「これ以上慰謝料を弁償したくない」という本音

(3)指針を超える「一律賠償」への忌避

  ・「司法の機能不全」まで持ち出して、救済を拒否させたい(破棄自判して棄却せよ)、裁判を受ける権利の否定、司法の役割放棄。

4 反論書を提出(本日)

添付資料として、淡路剛久・立教大学名誉教授、吉村良一・立命館大学教授、若林三奈・龍谷大学教授、大坂恵里・東洋大学教授、関礼子・立教大学教授(環境社会学)、除本理史・大阪市立大学教授(環境経済学)の各意見書を添付

                                                                                                     以上


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